ボクはキミに何を教えられるだろう


最近、後輩の子に記事の書き方を教えている。
正確に言えば、書いた記事をチェックして「ここはこう直して」という仕事だ。
自分が働いている会社は基本的に編集未経験者を採らないので、
6年働きながらこうやって一から教えるのは実は初めての経験だったりする。



でも正直、何が正しい、なんてことはなくて。
型にはめすぎてしまえばつまらなくなるし、自分と同じであることが正しいわけでもない。



だから、いつも考えてしまう。
ボクはキミに何を教えられるだろう、って。





もちろん、小手先のテクニックならいくらでも教えられる。
記事をだらだらしているように見せない方法とか、
わからないことを取材先にうまく聞く方法とか。




だけど何がよくて、何はダメだと、どうして言えるだろう。







ボクがキミに伝えられるのは、
できるだけ読む人がわかりやすく読める文章の書き方とか、
読む人が読みたいと思うであろう最低限の情報とか、
ボクが経験してきた中で説明できる、技術や背景とか、
たぶん、そんなことでしかない。



そのほとんどは多分、ウェブをぐぐればどこかに載っているようなことで、
別にボクがエラそうにしゃべれることでもないけれど、
多分1度読んだり聞いたりしたくらいでは、大抵の人は身に付けることができないから、
何度も何度もボクと一緒に作業をする中で、少しずつ身に付けていくものなんだと思う。



そしてその間、ずっと傍にいることが、ボクができる「教える」ということなんだと思う。







キミがいつか、そう遠くない未来に、
ボクを超えたと驚かせるくらいの記事を書いてくれることを、
ボクはほんとに楽しみに待っているんだよ。








そして忘れないで。
キミが聞いてくれる質問の1つ1つ、
ミスをして教えさせてくれる間違いの1つ1つが、
ボクを成長させてくれていること。



だから間違うのも、質問するのも、
恐れなくていい。








ただ、1つだけ、
ボクが1度言ったことは、できれば忘れないでいて。
そして間違いを繰り返さずにいて。
ボクの言葉がそんなに重みがないのかと、
かなり、悲しくなるから。