HD DVDが終わりとか、どうでもいいんじゃないか

2008/1/5-11まで、米国で開催しているCESに行ってきた。

現地に着いてみると、どうもメディアの人が騒がしい。
話を聞いているうちに、どうもHD DVD関連で何か大きな出来事があったということが分かってきた。
調べてみると、ワーナーがHD DVDからの撤退を決めたとのこと。発表日がちょうど移動中だったからフォローできてなくて現地で知るはめに。

向こうに集まっていた日本人記者の人たちは「あーあ」という雰囲気だったし、1/6に開かれた東芝の会見も登壇者は苦り切った様子で(米国の日本人Presidentとセールス担当者だったからコメントしようがないという事情もあったと思う)、Q&Aセッションもなし。会見後に日本人記者が米国Presidentを取り囲んで日本語で取材するというちょっと異様な雰囲気だった。

本来ならその日の夕方に、Wynnという豪華ホテルで会見する予定だったHD DVDプロモーショングループの会見も急遽とりやめに。HD DVDプロモーショングループのブースもどこかがらんとしていて、隣にあるBlu-ray Disc Associationの華々しさと対照的な感じがした。


で、問題は、「これでもうBlu-rayの勝ちで決まりだね。やったね!」というほど、世の中が盛り上がってないとこ。


たとえばこんな記事。

個人的には、「もうディスクはいらない。置く場所ないから。ネットワークで配信してよ」と思ってしまう。
twitterでも書いたけど、今回のBlu-ray VS HD DVDの争いは、供給者が宣伝するほどのメリットが感じられない。


たとえばビデオテープのVHSとベータが争ったとき、そこには「テレビを録画して後でまた観たい」という強い思いがあった。
テープからDVDに移行したときには、「テープを何回も観るとダメになっちゃうし、デッキに絡まって壊れちゃう」という困った問題があった。

でも、次世代ディスクにはそのどちらもない。

番組を見逃さないようにするなら、HDDレコーダーに撮っておけばいい。もしかしたらYouTubeにあがっているかもしれないし、ニコニコ動画ですでに盛り上がってるかもしれない。
映画やドラマだったらレンタルで借りられるだろうし、DVDで買ってもいい。
確かにHD映像は美しい。それを見てしまったらSD映像だとがっかりすると思う。

でも、見られないわけじゃないならそれでいい。



Blu-rayの会見で「で、どんなタイトルがでるの?」という質問が出て、ほかの記者から一斉に拍手が起きていた。もしBlu-rayでもHD DVDでも、「世の中のすべてのテレビ番組や映画を販売します」と約束してくれるなら、私は迷わず諸手を挙げてそちらを選ぶだろう。



私はディスクを買ってるんじゃない、コンテンツを買ってるんだ。
そう、気付いてしまったから。



ただ、映像をネットで観るために1コンテンツあたり3000円払ってください、と言われたらやっぱり高いな、と思う。パッケージになってれば、なんとなく払っても良いかという気になってしまう。


次世代ディスクの議論は、映画会社が高騰する映画制作費の穴を埋めるために、高品位+高機能のディスクを販売して視聴者1人あたりからの回収額を上げようとしているようにしか、私には見えなくなってる。
そこまで映画会社に力を持たせてしまったのは、国内で分裂してしまった日本メーカーのツケかもしれないけど。



そういう意味で、東芝を「チャンス」と呼んだ池田信夫さんのブログは面白い。
ソニーPLAYSTATION 3がある限り、Blu-rayを捨てられない。
たとえ家庭用に次世代光ディスクが必要ない時代が来たとしても、
テレビ局とかの業務用途(撮影やバックアップ、現在のフィルムの代替)できちんと使われてくれればいいと、日本メーカーを応援したい人間として思う。



ついでに言えばネットワーク機能があるなら、ディスクから直接ブートできるPC用アプリケーションができないのかな。PCにいちいちソフトをインストールするのも、メンテナンスの手間を考えるとやめたいんだよね。